2022.08.30

一般教室・9月10月のモチーフ

9月は2カ月に1回のモチーフの組み換え月。
石膏像2種、静物2種が新しくなります。

冒頭の写真は、ローマ国立博物館・アルテンプス宮に収蔵されている、紀元前460年頃に制作された石彫。
名前は『ルドヴィーシの玉座』。

コの字の形をしたこの石彫は、ローマのルドヴィーシ家の領地で発掘されたことから、
”ルドヴィーシの玉座”と呼ばれています。
しかしこの玉座、紀元前480年頃に再建されたアフロディーテ神殿の礎石部分に一致するような痕跡が見つかったり、この神殿に奉納されたテラコッタの飾り板などの様式と共通する部分が多いことから、現時点では玉座ではなく、祭壇の装飾のためのものとする説、地面に掘られた儀式用の穴を囲う柵や欄干のようなものとする説、石棺とする説、などいろいろと考えられているようです。

そしてこれらレリーフ彫刻は、女神の出産の場面を表しているとする説や、女神の沐浴の儀式とする説、ペルセフォネの地上への回帰の場面とする説などいろいろと考えられているようで…

制作された紀元前460年といえば日本だと縄文と弥生の境界あたりの大昔。
その時代の人間が、何の為に何の目的で作ったのか、思いを馳せるだけでわくわくします。
熱意を持って作ったものは時代を超えてもなお美しいですね。

今回の一般教室のモチーフになるのは、左側面のレリーフ彫刻。
名前は「笛を吹く女」。
ちなみに背面にあたる部分は「アフロディテの誕生(ヴィーナス誕生)」、右側面は「香を焚く女」の名前が付いています。

今月もまた、楽しんで絵を描いてください。


レリーフ彫刻における、均等な厚みの中で奥行を伝える立体表現は、絵の具の厚みの対比で空間を感じさせる絵画表現と類似しています。
レリーフの理解は油彩や着彩のヒントになるでしょう。