2022.10.25

一般教室 11.12月のモチーフはローマ皇帝

カエサル・プブリウス・セプティミウス・ゲタ・アウグストゥス
噛まずに読むのが大変な名前です。
生きていたのは189年3月7日~211年12月26日。

「小太りだし、なで肩だし、丸顔だし、毬栗頭みたいだし、眉毛繋がっているし…」と、受験生の頃の私には魅力を感じず描く気が湧かない石膏像でした。
今回のモチーフはゲタです。

こんなゲタさん、実は大変な生涯だったのですね。
父親はセウェルス朝の初代君主セプティミウス・セウェルス。
その皇帝である父亡き後、兄のカラカラと共に共同皇帝となったゲタですが、二人の仲はとても悪く、互いを憎み忌み嫌うような関係だったそうです。
それを案じていた母のユリア・ドムナは仲裁のため奔走していましたが、用意した和解の場でゲタ帝はカラカラ帝の手の者に刺殺されてしまったとのこと…
戦乱の時代にはよくあるお話ですが、お母さんの気持ちを考えると、なんとも切ないですね。

更にカラカラ帝は殺害のみならず、ゲタの姿が刻まれた彫像や絵画を徹底的に消し去り(写真③)、ゲタに関わりのあった高官、近衛兵、友人など2万人に近い人々を粛清したといわれています。

残忍の塊のような顔に作られたカラカラ帝(写真②)と、人の良さそうな顔に作られたゲタ帝(写真①)を見比べると、彫刻家は歴史や人なりまでも作っていることに気付かされます。

そんなゲタさん、実際に描いてみると綺麗で優しい曲面で作られた、印象の合わせやすい石膏像ですので、愛情を持って描いてあげてくださいね。

ゲタのオリジナル彫刻は、ルーブル美術館に収蔵されています。


※一般教室では新規加入者が多い為、今月から静物モチーフのセットを増やします☆